牧草ロール収穫作業中!

牛に快適な環境づくり

かみのすけです。
今日はたくさん牧場の写真を載せますよ~

先月2/12発刊の農業共済新聞
北海道面に取り上げていただきました。

↓ 記事全文 ↓

牛に快適な環境づくりに注力

【幕別町】上山俊亮さん(36)は、妻の美奈さん(34)とともに2024年4月に幕別町忠類で新規就農し、酪農業を営む。現在は、放牧とつなぎ牛舎の組み合わせで、搾乳牛41頭を飼養する。上山牧場は、一般社団法人日本草地畜産種子協会の「放牧畜産実践牧場」として認証。よつ葉乳業株式会社と帯広畜産大学が共同で取り組んだ独自のアニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼養管理)基準に沿った飼養管理を実践している。それらの基準を満たす忠類地区の生産者5戸が「放牧生産者指定よつ葉牛乳」を商品化している。上山さんは基準を満たすため、吐水量を確保できるウォーターカップやトンネル換気システム、照明の光量などの設備を整え快適な牛舎に改良してきた。上山さんは「放牧生産者指定よつ葉牛乳は、自分の生産した生乳がどのような形で商品化されているか実感があり、日々手を抜けない気持ちになる。これから飼養頭数を増やす中で、牛たちがさらに快適に過ごせる環境づくりにも配慮し、より良い生乳生産につなげていきたい」と意欲的だ。(小島)

前職(広告業)の経験を生かし、自分たちでデザインした看板

非常に丁寧に取材していただき、限られたスペースと文字数の中で、とても美しくまとめていただきました。

かみのすけ

NOSAI北海道の小島先生ありがとうございました。

牛に快適な環境づくり。

上山牧場ではこれまでの就農準備の段階から、牧場全体のリメイクに挑戦してきました。
今日の記事ではその大改革を、写真付きでご紹介していきます!

その前にひとつ。誤解してほしくないこと。

注意

これから紹介する事例は、先代の経営者の牧場を否定するものでは全くありません。また同じ飼養形態の牧場を否定するものでもありません。

先代の大切な牧場を引き継いだ私たち。
リメイクは、リスペクトです。

なので「改良」という言葉は使いません。
私たちの働き方に合わせた「改変」です。

施設や設備メーカーの企業努力もあり、技術も進歩しています。その時代、その世代で、与えられた条件でベストを尽くす。

私たちの経営においても、身の丈にあった最善を尽くすことが、これまで歴史を積み重ねてきたこの牧場を、この先もずっとずっと守っていくための使命である。そう考えています。

それではさっそく見てみましょう

かめのすけ

飲み水

Before
配管が細い
配管が細かったのが悩みでした。牛たちが同時に水を飲むと、水源から遠い下流では水が出ない状態でした。
After①
太い配管に変更
配管が太くなりました(約5倍)。牛たちが同時に水を飲んでも水が出なくなることがなく、全頭が平等に飲めるようになりました。
After②
水量の多い飲み口に変更
個別の飲み口も新しいものに変更しました。

水量が多く容積も大きいので、牛たちは好きな時に好きなだけ清潔な水を飲むことができます。
快適!

照明

Before
蛍光灯
昔ながらの蛍光灯をしようしていて、夜の牛舎内は少し薄暗く、搾乳作業などの際には見づらさも感じていました。
After
LED電気に変更
LED電気に変更しました。電気の本数を増やし、設置する間隔にも配慮しました。牛舎の隅々まで明るくなり、作業しやすくなりました。また、牛たちは明るい環境の方が餌をよく食べることもわかっています。
快適!

換気

Before
送風機1台
夏。搾乳前に牛たちが戻ってくると牛舎の中は蒸し風呂状態に。牛の体温は人よりも高いので牛舎内の温度が急上昇します。

送風機1台では追いつかない。搾乳作業は人間も暑さとの戦いでした。
After
トンネル換気システム
牛舎の壁に大型の換気扇を4台設置。強力なパワーで風を引っ張るトンネル換気システムです。

牛舎の入口から風が吸入されて壁の張り紙が横に飛んでいくくらいです。これで牛も人も救われました。

快適!

出産環境

Before
つなぎ牛舎で出産
出産を控えた牛もつなぎ牛舎で過ごしていました。そのため産気づいた牛は、首を繋留されたまま出産をしていました。出産の時は立ったり座ったり寝返りをうったりと動き回るので、その動きに制限があるように見えました。

私たち人間が出産に気づかないと、生まれた子牛はそのまま牛舎の溝に落ちていて、母牛も子牛に届かないというストレスがありました。

生まれた子牛はすぐに溝から救出し、母の目の前から子牛用の哺育室へと移動します。
After
出産部屋を新設
牛が落ち着いて出産できる専用の部屋をつくりました。自由に動き回るのに十分なスペースが確保してあります。あえて暗めの照明や、風の流れ、滑りにくい床など細部にもこだわりました。

出産時の事故のリスクが減り、牛に出産を任せることができるようになりました。

親子がお互いに顔を合わせ、ひとときを一緒に過ごすことができます。
快適!

子牛の哺育環境

Before
搾乳牛と同じ空間
子牛用のスペースは搾乳牛舎の片隅にあり、子牛たちは親牛40頭と同じ空間で過ごしていました。親牛の搾乳が終わり皆が放牧へ出ていくと、牛舎が空っぽになることで牛舎内の温度が急激に下がります。その温度変化で子牛の体調が悪くなってしまうこともありました。
After
哺育室を新設
同じ搾乳牛舎の中に、子牛専用の哺育室をつくりました。夏は風通しがよく冬は暖かい。親牛たちと空間を分けることで感染症や温度変化への対応も柔軟に行えるようになりました。
快適!

かみのすけ

疲れてきたぞ。もう一息!

搾乳機器

Before
レトロな機器
昭和の時代から使用してきた搾乳機器。先代の方が非常に丁寧に大切に使われていたのでとても長持ち。生乳をためておくタンクも容量が小さく、これからの経営を考えると少しキャパ不足。

古くても衛生環境や搾乳能力に影響はないのですが、メーカー部品が廃盤となり、壊れたら終わり!という状態が続いていました。
After
自動離脱モード搭載
補助制度を活用し、最新の搾乳機器に変更。タンクも大きいものに変更しました。

搾乳の自動離脱モードが搭載となり、牛の泌乳生理に合わせてオートで搾乳機器の取外しができるようになりました。最新機器の導入で1回あたりの搾乳にかかる時間が、なんと30分も短縮できました。
快適!

かみのすけ

いよいよラスト!

放牧地の牛道

Before
雨の後はぐちゃぐちゃ
最後は放牧地。牛が歩く通路の排水が悪く、牛も人もぬかるみに足をとられながら歩いていました。
After
排水を整備
水がたまりやすい部分の勾配を整備して排水も確保。雨の後でも水が流れてぬかるまなくなりました。
終了!!!

あああーーー長かった。笑

最後まで読んでくれてありがとうございます。さらに細かいことを加えれば、もっともっと紹介したい事例はありますが、今日のところはこのあたりにしておきましょう。

冒頭にも書きましたが、飼養環境は牧場によって条件が異なるので、どの方法が良くて、どの方法が悪いということはありません。また土地環境や金銭的な制限もあります。

お金をかければより快適な環境がつくれるのは間違いありませんが、お金をかけない方法でも快適な環境を目指すことはできます。それぞれの条件の中で創意工夫を凝らし、ベストを尽くすことが、生産者としての責任であると思います。

牛と人が共に働きやすい職場環境をつくること。
働き方改革は日々つづきます。

したっけ。ごきげんよーう。

写真を集めるのが
めっちゃ大変だった
かみのすけ

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